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11.04.02 『 3・11 』と 11日間のツアー

2011年3月11日 午後2時45分頃 東北関東大震災 発生。

一瞬にして、その人生の最期を迎えることになり
天に召されてしまった全ての方々にお悔やみ申し上げます。

そして未だ続く余震の中、生への不安を抱えながら避難生活を続ける
被災者の方々のことを思うと、どうにもいたたまれない気持ちになります。

地震発生時には自宅に居た僕自身も
壊れそうな勢いで揺れる自宅の中で
立っていることも出来ないほどの大きな揺れに生命の危機を感じながら
楽器片手に近くの小学校のグラウンドまで走って逃げようと思いました。
それは未だかつて感じたことが無いほどの恐怖でした。

その後にTVで見た、津波や火災によって変わり果てた被災地の光景は
とてもいま現実に起きていると信じたくないような凄惨なものばかりで
おさまらない余震や耳に入って来る幾多の危機情報も
生活をするという基盤の根底にある大地の安全という
人間の最もベーシックな部分を覆すものばかりで
自分の身体自体はもちろんのこと、
気持ちそのものが立つ場所を失うかもしれないという危惧が
心を地中深く沈めてしまいそうな、そんな強烈な地球の引力に苛まれる日々が始まりました。

震災の翌々日からのNewQuartetでの西日本ツアーは
メンバー4人(僕・熊谷ヤスマサ・川村竜・大槻カルタ英宣)にとって
もし、3・11以上の震災が再び東北関東を襲った場合、
最悪、家族や知人と生き別れになるかもしれないという
この上ない不安を抱えたままの見切り発車状態で。

中止という考えも脳裏によぎりましたが
この震災のあともこうして五体満足に生きていられる自分たちが
日々を一生懸命生きないとしたら、それは尊い命を失った多くの人に申し訳ない。
そんな固い決意をもって西へ西へ進むことにしました。

被害のあまり無かった西日本各地を廻っていても
内心、震災以前の気持ちとは全く違う過敏な精神状態で、
演奏出来るのは今夜までかもしれない、とも思う気持ちが
音に宿っているような、白熱のLIVEの日々。

西日本の各地でも、この状況で大変な事態になっている方は大勢いて
それでも各地で我々のLIVEを聴きに来てくれたり
支えてくれたりしてくださる方も大勢いて
徐々に僕らの気持ちも救われてゆきました。
被害も少なく、通常の生活をおくっていられる方々が
僕らを救ってくれたように、
僕らはもっと弱っている人々を救う為に
何かが出来るのならば何でもしようと思う
人が人を生かしていることを真に実体験した11日間のツアーでした。

お世話になった皆さま、聴いてくれた皆さま、
本当にどうもありがとうございました。

ツアー後に戻った東京生活でまだまだ続く余震や原発への不安に
なかなか言葉や文章を発することが出来ませんでしたが
毎朝窓から差し込む朝の光がその日その日に希望を与え
それに照らされる自分の中の強い意志が
自分や音を前進させる力を発揮しているのを感じるので
4月を迎えて心機一転、書きしたためました。


音楽に何が出来るのかはわかりませんが
音が少しでも誰かの気持ちを救ったり、喜びの時間をもたらすことが出来れば幸い。
これからも自分の全てを懸けて、一生懸命演奏してゆこうと思います。





                          # by ken_ota | 2011-04-02 03:08
by ken_ota | 2011-04-02 03:08
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