人気ブログランキング |

15.3.26 Piano Man

今日、家にサックス専門誌「The SAX」の見本誌が2冊届いた。
今号はvol.70。 記念すべき創刊70号は特別版の装いで
国内サックス史を振り返る記事が載ってたり
これまで紙面に登場したサックス奏者たちのワンポイントアドバイス総集編とか
とても豪華な内容。特別付録のCDまでついてる。
この付録CD、世界的に有名な名曲を数人のサックス奏者が吹いていて
今回、その一人として演奏させてもらったので
見ると、表紙の片隅に自分の名前も載ってる。おお。

編集部からこの依頼をいただいた時に曲目の指定があった。
「“New York State of Mind”をピアノとDUOでお願いします。」

僕のLIVEに足を運んでいただいてる方はお気づきかもしれないが
近年、ポップスのカバーを自ら演奏することはほとんど無く
年々、コアなジャズ度が高まっているような気がしている僕が
ビリー・ジョエルのあの名曲を一体どう料理すればよいのか。。。
と考えた時に、はたと気づいた。

ビリー・ジョエル。

6歳で始めたピアノではバッハやモーツァルトの曲を弾き
10歳で始めたトランペットではマーチングバンドの曲を吹き
13歳で始めたテナーサックスでは吹奏楽の曲を吹き
16歳で始めたアルトサックスではクラシックのコンチェルトなどを吹いていた僕が
高校生の頃に初めてバンドで演奏した曲がビリー・ジョエルの“Piano Man”だった。

クラスメートに、文化祭でバンドのLIVEやるからサックス吹いてよ、と言われて演奏したのが
バンドでポップスを吹いた最初の経験だったな、そういえば。

クラシックにのめりこんでいた10代の自分が演奏したビリー・ジョエル。
ジャズにのめりこんでいる40代の自分が演奏するビリー・ジョエルはどんな風になるだろう?と
少し因縁めいたこのオファーに興味が湧いてきて、やってみることに。

ここ数年、素晴らしいピアニストの方々とDUOでライブをさせていただいているが
この選曲とちょっとひらめいたアレンジに思いめぐらせたとき
自然と、それを弾くピアニストの顔も浮かんできた。

熊谷ヤスマサ。 そうだ、熊ちゃんがいい。

もう4、5年以上一緒にやっているだろうか?
最近は都内某所で月に1、2回、
二人でジャズスタンダードばかり掘り下げるDUO、
通称「スタンダード研究会」、略して「スタ研」を継続しているので
その研鑽の記録を1曲でも残したいという気持ちもあるし。

で、録音してみたわけです。
よく知られたこの曲のAメロのハーモニーに現代的なジャズの要素を取り入れてみたのだけれど
出来上がったものを後から客観的に聞いてみると
スタンダード曲「時には母のない子のように」のような雰囲気。
ヘレン・メリル(vo)とスティーブ・レイシー(ss)が一緒にやっている
大好きなバージョンの「匂い」が知らず知らずのうちに出てしまったのかもしれないな。

しかし、熊ちゃんのピアノは素晴らしい。
全く揺らぐことなく安心して身を委ねられるタイム感。
分厚く重みのある沈んだ音色。これが実はエレピの演奏だと誰が気づくだろう?
ブルースとゴスペルの要素が詰まったアーシーでソウルフルなプレイ。
録音を聴いてあらためて思う。彼は真にリスペクトに値する素晴らしい「Piano Man」だ。

2冊届いたうちの1冊を、今度会うとき熊ちゃんに渡そう。
長年一緒に演ってきた熊ちゃんとの初録音。
ものは付録でも、僕の人生にとっては付録じゃない、大切な思い出の1曲。

譜面もついてます。サックスをやる方も、そうでない方もよかったら聴いてみてくださいませ。

15.3.26 Piano Man_e0038558_2272177.jpg

by ken_ota | 2015-03-26 02:28
<< 15.10.29 浜田博行さんの音は 15.2.27 色褪せない記憶 >>