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14.11.17 美しい人

約2年ぶりに「NOTES」という名のblogを書いてます。
こちらを継続して読んでくださっていた方々には
期待に応えることなく
全然更新しなくてホントにすみませんと、まず心からのお詫びを。

TwitterやFacebookの隆盛に伴い
日々の徒然をそちらで発信することにした、というわけではありませんでした。
Facebookの投稿はTwitterに連動させているので
実質書いていたのはTwitterのみ。
その理由は「140字しか書けないから」。

フランツ・カフカの3つの長編小説 『アメリカ』『審判』『城』 がすべて未完なのは
長編だからという理由だけではないでしょうが
語ろうとするストーリーは長くなればなるほど
その全てを一人の人間の美意識の範疇に納めることの難しさはきっと誰しも感じるであろうことで
書いた後についつい推敲もしてみてしまうblogを書くには
それなりの時間とゆとりも欲してしまうもので。

それがある日突然無くなったというわけでもないのですが
昨年初頭に最愛の祖母が他界して以来
長文を書くこの場に向きあえなかったというのが本当のところかもしれません。

幼少の頃からの思い出の風景にはいつも一緒に居た
家族の喪失をこの歳で初めて目の当たりにしたことで
空虚な大きい穴のような場所を心に抱えることになり
その反動もあってか音楽そのもののことに集中するあまり
自分の活動を言葉で伝えるblogから遠ざかってしまったという
応援してくださっている皆様には申し訳のない
自分なりの理由があったのですが
結果的にはサボっていたことと同じで
一言で言えばやっぱり「すみませんでした」です。

冬にさしかかった秋晴れの今朝
ふと思い立って書いてみるのは、この二日間のこと。
一昨日と昨日の気持ちの高揚は140字では伝えられないので
Twitterに書いた短いコメントの内側を書きたくなりました。
それを見てない方々も居ると思いますが
こちらが本文なので大丈夫です。笑

この週末は土日とも関内「KAMOME」に連続出演しました。

土曜日は僕のQuartet+1。
最近、よくご一緒させていただいている
市野元彦さん(guitar)鉄井孝司クン(bass)則武涼クン(drums)の3人に
ゲストで橋爪亮督クン(tenor sax)を迎えました。

同じ1970年生まれの橋爪クンとは楽器店でバッタリ会うばかりで
一緒にステージに立ったのは今回が初めて。
彼のCDを日頃愛聴している僕はある種ファンのようなところもあるのですが
LIVE中に隣から聞こえて来るというか
そこで彼が吹き、生まれて来る音楽はCDを遥かに上回るもので
僕の曲を一緒に演奏しているのに
その美しさにすっかり聞き惚れてしまっていた
そんな時間でした。

楽屋で、彼がずっと一緒に演っている市野さんとの会話を聞いても
それ以外の何をしている時も
その所作は常に品良く落ち着いた佇まい。
その思慮深さはプレイだけではなく立ち振る舞いからも感じられて
音が発する世界観が身体からにじみ出ているのがわかります。
彼は美しい人だな。そう思いました。

言うこと&すること、と
発する音&生み出す音楽は
同じ一つの心から出てくるので
雰囲気が似て来るのは当たり前なのでしょうが
美しい音は美しい心から。
至極当然なこともすぐ近くで実感するとその思いもひとしおです。

おばあちゃんもそうでした。
いろんなことを優しく教えてくれた
とても美しい人。
記憶は美化されると言いますが
僕の記憶の中のおばあちゃんは
もうずっと、何一つ変わらず素敵な人のまま居続けてくれます。

ライブ後に橋爪くんが最新作のライブ盤をくれました。
全て歌えるほど聞いていた3枚のスタジオ盤の先にある
ライブで生まれたものをリアルに記録したこのCD。
その素晴らしさはあと1000文字使っても書き表す自信がないので
写真を貼っておきます。(続く)

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# by ken_ota | 2014-11-17 10:49

12.12.31 今年もお世話になりました

気がつけば師走。大晦日の朝8時。

こちらも気がつけば、なんと4ヶ月ぶりの更新となってしまいまして
お久しぶりのご挨拶と
本年諸々総じての謝意を共にすることになり
甚だ恐縮ではございますが

今年もたくさんの幸せな時間を共有していただいた皆様
本当にありがとうございました。

この1年、昨日まで出演したライブは208本と
煩悩の数を100上回るくらいの感じでしたが
そのいずれにも多々得る所あり
結果、音もセンスも最も自分らしいと思える姿にシェイプして
そこに揺るがない確信も持てるようになったのは
今年の大きな成果だと思っています。

長く一緒に演奏して来た仲間との信頼関係が創り上げる
絶対的安心感の上での冒険も
新たに共演したミュージシャンから得る
斬新な刺激が見せてくれる未踏の景色も

それらを享受できる場所に居るという幸運に始まり
起こる何かに驚き歓喜する瞬間瞬間は
筆舌に尽くし難き至福の体験で
そんな毎日を過ごしている有り難みは
ひとえに自分は人の縁に恵まれてるのだと思うことしきり。

また来年も
もっともっと多くのシアワセな時間を
皆さんと共有出来ることを切に願って
2012年ラストライブ@御茶の水Naruに向かいます。

年が明けたら名古屋に向かい
正月三が日の1/2・3は名古屋StarEyesでライブ始め。
その直後に横浜&名古屋での“SFKUaNK!!”結成10周年ライブなど
1月からまた盛りだくさんの濃い日々が続きそうで
来年のスタートダッシュに今からわくわくしています。

皆様もどうぞよい年越しを
そして新たな年を無事に迎えられますよう
お祈り申し上げます。

よいお年を & Happy New Year!!


2012年12月31日                太田 剣
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# by ken_ota | 2012-12-31 08:26

12.08.29 次なる音楽の序章は

残暑厳しい日々が続いておりますが
皆様お元気ですか?

朝風呂から上がって薄着のまま朝日の中を
緩やかに流れる川の水に沿って歩いたりすると
それはもうこの上なく心地よかったりして
この季節ならではの良さをあらためて噛み締めたりもしますが
さて出かけようと午後になって車に乗り込むと
そこはまるでオーブンのような灼熱密閉空間。
体感的に最高と最悪というメーター両極への振り切れ方を一日で味わえるのも
夏の凄いところだなと、感心したりしなかったりです。

8月は自分が音頭をとるリーダーライブが8本ありました。

3度目の無伴奏ソロライブ、
音楽の深い淵へもぐってゆくようなハクエイキムとのデュオ、
熊谷ヤスマサ/川村竜/大槻カルタ英宣とのレギュラーカルテット、
石井彰/俵山昌之/池長一美という先輩方を迎えての新しい試み、
西藤ヒロノブというセンス溢れるアーティストとの初邂逅などなど
そのいずれもが心に新鮮に響いて
外へ外へと向かってゆく音が残す足場としての自分の内側に
同じ数だけの新たな音の萌芽がたまってゆく
アウトプットとインプットの自然な流れを経て
明日からのライブにまた新たな自分として臨めるという
音楽的・精神的な充実が嬉しい8月でした。

あと3日を残して8月が終わったような書き方になってしまったのは
明日から9月10日まで続くライブ&ツアーが
下半期スタートダッシュのような気がしているからで
素晴らしいメンバーとの連日の演奏で
この上半期の充実がどう結実するか
正直楽しみで仕様がないという、ハヤる気持ちを抑えきれていないのかもしれません。

8/31(金) 本厚木・Cabin
9/1(土) 柏・Nardis
9/3(月) 名古屋・Star Eyes
9/4(火) 岡山・MO:GRA
9/5(水) 広島・Speak Low
9/7(金) 熊本・KKRホテル
9/8(土) 志布志・Cureo Hall 
9/9(日) 博多・New Combo

太田剣/ハクエイキム/生沼邦夫/大槻カルタ英宣 という
個々に縁もゆかりも深い間柄の4人が揃う初のツアーです。

新曲も携えて、音楽が語る終わりなきストーリーを
毎夜、皆様と共有できるのを楽しみにしています。
ぜひお越しいただければ幸いです。


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# by ken_ota | 2012-08-29 12:48

12.08.12 海から陸へと進化を遂げる間柄

またしばしご無沙汰しておりました。こちら【NOTES】という名のBlog。
暑い日が続いておりますが皆さまお変わりなく元気にすごされていますでしょうか?


前回ここに書き記した6月の東北ツアー後は
7月に単身札幌に飛んでの演奏や、その他いくつものLIVEで演奏を続けておりまして
そうこうしているうちに4年一度のオリンピックも始まり
もうそろそろ閉会式を迎えようかというこのお盆の頃に
あるミュージシャンと初めて共演することになりました。

知り合ってからもうかれこれ6、7年になるでしょうか?
あちらこちらでよく顔をあわせるのですが
ライブで顔をあわせることがなかなか無く
彼と初めてゆっくり長い時間を過ごしたのは昨年11月。
鹿児島の南端、志布志の海のそばにある
海水温泉の海水プールで一緒にジャブジャブ泳いだ時でした。

それから9ヶ月。
生命の進化さながらに
二人で陸に上がって一緒に演奏することになりました。
ずっと気になってて
いつか一緒に演奏してみたいと思っていた
素晴らしいギタリスト、彼の名は「西藤ヒロノブ」。

僕が愛聴している彼のアルバム『The Sea』も
そこここに海の匂い漂う、センス溢れる好盤で
西も北も南も海という渥美半島先端の土地で育った僕の
原体験にも共鳴する何かを秘めたその音楽性とのコラボレーションが
今から楽しみでなりません。

鈴木正人&大槻カルタ英宣という素晴らしいミュージシャンも揃って
さて、どんな音世界を創りあげられるか。

それによって僕自身の音楽人生に
どんな新たな要素が加えられるか

見知らぬ音、見知らぬ景色へのカウントダウン。
あと3日後になりました。

8/15(水)夜7:00はぜひ
横浜みなとみらいの「MotionBlue YOKOHAMA」で
二人の初邂逅に耳を傾け、全身で体感していただければ幸いです。

皆さまのお越しをお待ちしております!
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# by ken_ota | 2012-08-12 03:49

12.06.20 年を重ねた旅の思い出

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早いもので2012年も、もう半分が過ぎようとしていますが
皆様いかがおすごしでしょうか?

四季の変化が美しいとされるこの国の気候も
年々少しづつ変化しているのはここに住む我々には明らかで
そんな中、いつまでも変わらない愛すべき何かを求めたいと思いつつ
それを求めようとすることで自分自身が変わってゆくというパラドックスに
停まることのない時間の流れの宿命を感じるたび
ふと立ち止まってぐるりと1周まわりを見渡してみたくもなります。
自分の立ち位置とか視野の微調整は
前に進もうと踏み出す足の揺らぎを無くす大切な過程だと思いながら。

この6月前半は西へ東へ、いや西へ東北へという感じで
演奏の旅に出ていました。

神戸・滋賀・東広島・岡山・名古屋はハクエイキム君とのDUOで。
仙台・新庄・盛岡・鹿沼へはハクエイ君と川村竜クンと大槻カルタ英宣クンとのQuartetで。

DUOでのツアーは全て、マイクやPA無しの生音で演奏しました。
ピアノとアルトサックス、二人だけだから出来る演奏環境でもありますが
なにより二つの楽器が空間に放つ、音という名の空気の振動が重なったものが
直接そこに居る人の耳や肌に伝わる、ごく自然な音の送受の心地良さと
決めごと無しで臨むことにより、僕とハクエイ君という二人の演奏家の
その時、心から生ずる音楽をリアルタイムで受け止めてもらうという
時空間共有の醍醐味を味わっていただくことが
自分たちの出発点であり最重要命題でもあった
とても意義深い、即興音楽への挑戦の日々でした。

それは今の僕が考え欲している音楽のとても大切な一つのカタチで
その後に東北に行った4人での音楽も、その志向や姿勢という点では
大きくかけ離れるものではなく、同様に探究心あふれる素晴らしいものになりました。

ハクエイキムという特異で素晴らしい世界観を持ったピアニストが彩るサウンドを
当代随一の音色・躍動感・音楽性を兼ね備える川村竜というベーシストと
不可能とさえ思えるほどバーサタイルに数多の音楽への造詣を深めている大槻カルタ英宣というドラマーが
まだ見ぬ景色を描こうとするが如く、巧みに広げてゆき
僕はその映像の上で語られるストーリーの言葉と、伝える声を一つ一つ吟味しながら選んでゆく。

イメージを共有する仲間、皆の
音楽に対して純粋であり続ける心に何の曇りも陰りもないことが
本当に気持ち良く嬉しい、そんな演奏の毎日でした。
1日だけゲストで加わってくれた盟友、小沼ようすけクンの
空気をも変える存在感とプリミティブに人間的な音楽性も素晴らしかった。

両ツアー併せて9公演。訪れた先の各地で
そこに住みながら音楽を愛し続ける多くの方々に大変お世話になりました。
ライブハウスを経営して音楽の素晴らしさを人々に伝え続けてくれる方々、
ライブを企画し宣伝し、何も無い所から一つの尊い夜を創りだしてくれた方々、
そこで僕らの音楽を共有するために足を運んでくれた皆さん。
演奏抜きでもまた会いに行きたい、そういう人たちとのつながりの時間を
多く持てたことが何よりの喜びです。

偶然なんですが、東北ツアー2日目の山形・新庄市でのコンサートの日は
僕の42歳の誕生日でした。
初めて会ったときから隣人のように暖かく迎え入れてくれて
行くたびに故郷に帰ってきたかのような安心感で嬉しくなる新庄FJCの皆さんとバンドメンバーが
僕のメモリアルな日にサプライズまで用意して祝ってくれたこと、本当に嬉しかった。
人が人を思いやる気持ち以上に
人の心を感動させるものなんてないのかもしれない。
また一つ大切なことを教えてもらった気がします。

新庄FJCの皆さんとの話→2008年11月2009年11月

全9公演、お世話になった皆さま、聴いてくれた皆さま
本当にどうもありがとうございました。この先もずっと忘れることなく
大切なものとして心に残る素晴らしい日々の記憶をいただいたこと、とても感謝しています。

歯に衣着せぬ情熱むき出しの議論で音楽を少しでも良いものにしようとしてくれた
ツアーメンバー皆にも。ありがとうございました。

また明日から音楽を演奏するのが楽しみです。
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# by ken_ota | 2012-06-20 01:29